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アメリカ議会の超党派議員らがリバティ・メディアに書簡を送る。F1のアンドレッティ参戦拒否に懸念を表明

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アメリカ議会の超党派議員らがリバティ・メディアに書簡を送る。F1のアンドレッティ参戦拒否に懸念を表明

 アンドレッティ・グローバルのF1参戦をめぐる現在進行中の物語に、大きな進展があった。アメリカ議会の12人の議員は、F1の商業権所有者であるリバティ・メディアに書簡を送り、アンドレッティの申請が却下されたことについて強い懸念を表明した。

 2023年1月、アンドレッティ・グローバルはアメリカの自動車会社『ゼネラルモーターズ』と提携し、早ければ2024年シーズンにF1に参戦するために、正式な申請を行った。F1の統治機関であるFIAは、昨年10月に2025年か2026年からの参戦を承認したが、最終的にアンドレッティの申請は、今年初めにフォーミュラワン・マネジメント(FOM)によって却下された。

シルバーストンに新拠点を設置しF1事業に取り組むアンドレッティ。エンジニアリング職や製造部門などの採用も進める

 FOMはその理由として、11番目のチームがF1にもたらす価値の欠如と、アンドレッティが“競争力のある競技者”になる能力に対する懐疑的な見解を挙げた。また、追加のチームを受け入れることは、F1のレースプロモーターに財政的負担を強いるリスクがあることにもFOMは懸念を抱いた。

 今週、F1のレジェンドであり、アンドレッティ・グローバルの取り組みを力強く伝えているマリオ・アンドレッティは連邦議会を訪れ、書簡に署名した12人の超党派議員のひとりであるジョン・ジェームズ下院議員と会談した。アメリカ議会議員らは、リバティ・メディアのCEOであるグレッグ・マフェイに宛てた書簡のなかで、アンドレッティの拒絶の背後にある真の動機について重要な問題提起を行い、反競争的行為の可能性を示唆した。

 書簡では、アンドレッティ・グローバルの申請を却下したことに対する懸念が表明されており、さらにはアメリカの独占禁止法違反の可能性を強調し、次のように述べている。

「我々は、アンドレッティ・グローバルとゼネラルモーターズ(GM)というふたつのアメリカ企業がF1に参入して競技を行うことについて、これを妨げる可能性のある明らかな反競争的行為に関する懸念をここに表明する」

「申請の却下は、ヨーロッパのF1レースチームの現在のラインアップによって引き起こされたように見受けられる。それらのチームの多くが、GMのようなアメリカの自動車会社と直接競合する外国の自動車メーカーと提携している。アメリカ企業のF1参戦を阻止しようとするのは不公平で間違っており、アメリカの独占禁止法にも違反する可能性がある」

 この書簡は、F1への実力主義による参入の原則も強調している。

「アメリカのチームを含むすべてのF1チームの参加は、実力にもとづいて行われるべきであり、現在のレースチームのラインアップを守ることに限定されるべきではない」

「アメリカでのF1の存在感が高まっていることはまさに事実だ。フロリダ州マイアミ、テキサス州オースティン、ネバダ州ラスベガスの3つのグランプリを含むモーターレースイベントが開催されている」

 12人の下院議員は、5月3日までに以下の質問に対してリバティが回答することを求めている。

(1)FOMはどのような権限の下で、アンドレッティ・グローバルの参入を拒否するのか? 特にアンドレッティ・グローバルとそのパートナーであるGMに関して、FOMが拒否した理論的根拠は何か。彼らはアメリカ人が所有し、アメリカで構築された最初のレースチームとなる可能性がある。

(2)1890年のシャーマン反トラスト法は、アメリカの消費者にとって最良の結果を生み出すために、市場競争を不合理に抑制することを違法としている。アメリカ人が所有する企業であるアンドレッティ・グローバルとGMを拒否するというFOMの決定は、既存のヨーロッパのレーシングチームと、彼らのパートナーである外国自動車メーカーを利するものだが、これによりシャーマン法の要件をいかにして満たしているのか?

(3)GMはキャデラックブランドを欧州市場に再導入する意向であることを我々は理解している。これにより、アメリカの自動車産業による数千人分の高賃金の仕事が特にF1の世界中の視聴者にもたらされ、そのハロー効果がチームやスポンサーに現れるだろう。既存のF1チームが新たなアメリカの競技者を公に非難したことを考慮すると、アンドレッティとGMがレース市場シェアの一部を獲得し、GMが欧州市場に参入して市場シェアを獲得することは、アンドレッティ・グローバル・チーム参入を拒否する決定にそれぞれがどれだけの影響を及ぼしたのか?

 書簡は、「我々は、適切な連邦規制当局とともに、アメリカ独占禁止法違反の可能性が迅速に調査され、追求されることを保証するべく、この件について引き続き監視を行う」と締めくくられている。

 アメリカ議会議員による介入は、アンドレッティとGMの物語が大きく展開することを明らかに示している。FOMの意志決定プロセスに透明性が要求されており、反競争的行為が確認された場合には法的措置への道が開かれる可能性がある。F1に向けたアンドレッティ・グローバルの野望の今後は依然として不透明だが、議会の関与は、この状況に新たな複雑さと潜在的な法的影響をもたらす。

 ミシガン州選出の共和党下院議員ジョン・ジェームズは、「これがカルテル型の行為であるかどうかは、あなた方に判断してもらおう。これが反競争的で独占的な行為かどうかをだ」と『NBC News』に語った。

「外からなかを見ると、お金が物を言っているのだろうか? という疑問を持つだろう。次のような疑問もあるかもしれない。F1やリバティ・メディアは、アンドレッティ・キャデラックから2億ドル(約306億円)から10億ドル(約1528億円)を引き出せるようなうまみのある取引をするために、話を先延ばしにしているのだろうか」

「一方、アンドレッティ・キャデラックは、あらゆる基準に準拠するための準備に月に数百万ドル(約数億円)を費やすというコミットメントを示していると思う」

「我々は相互の利益のために、そして特にアメリカのために、この問題を解決してともにビジネスを行うことができるよう願っている。しかし、そうでない場合は、質問に答えてもらう。なぜなら、我々にはアメリカの消費者とアメリカの企業を守る義務がある。それが、我々が第一に忠誠を誓っていることだ。そして、それを利用しようとする者は説明責任を問われることになる。アンドレッティをサポートするだけではない。これはアメリカ人を支援することなのだ」

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みんなのコメント

1件
  • ymk********
    F1の歴史から見て撤退と参入を繰り返し認められるのはホンダだけ!他のメーカーは信用が無い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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